丸森(1,329m)は雫石スキー場のある高倉山の西隣に位置する登山道のない地味な山だ。
雫石盆地から眺めると奥羽山脈の最前衛にあり、その名の通りまろやかな山頂から長く延びる尾根は立派な山としての
風格を備えている。
そんな登山対象としては一般的でない丸森も、テレマークスキーなら容易にアクセスできる。
雫石たんたんで知られる雫石神社の入口から高畑牧野へ通じる道路は大部分が舗装され、毎年連休前後には通行可能
になる。
この道路は、途中、目指す丸森はもちろんのこと、岩手山や秋田駒ケ岳、和賀山塊などの眺めが良く、山岳風景を楽しめ
る穴場的道路なのだ。
終点は既に標高720mあり、牧野の管理等が建っている。
地図では高畑牧野となっているけれど、現在は大部分が畑作地帯であり、そのためか管理棟も使われていない様子で
廃墟と化している。
ここに車を止め、枯れススキの耕作放棄地を少し歩くと牧野と国有林の境界になる。
ここから少し登った荒沢林道まで、以前は薮漕ぎを強いられたが、近年刈払いされ、今は登山道のように快適になった。
直ぐに荒沢林道に出るので、林道を西へ進む。
この林道は国有林道で、雫石神社の方から登ってきている。
以前はこの林道も笹薮だらけで歩きづらかったけれど、林道の延伸工事のため刈払いされ、今は快適だ。
最初は雪も無く、スキーを担いでの歩きだけれど、荒沢の深い谷を回りこみ高倉橋を渡ると完全にスキーでの歩きなとなる。
この辺りまで来ると深山幽谷の雰囲気が満点で、思わず深呼吸したくなる。
やがて荒沢の右岸を登り返しているうちに、対岸の雫石スキー場の峰越しに岩手山が望まれるようになる。
その先で尾根を回り込むと、そこが丸森への登り口となる。
歩き始めからここまで90分近くを要する。
ここでシールを着け、あとは山頂を目指し、ひたすらに尾根を登る。
林相は出だしはカラマツ林だけれど、直ぐにブナ林に変わる。
尾根は巾が広いので下山時に迷わないよう方向確認が重要だ。
登るにつれて、勾配はきつくなる。
雪は数日前の湿った新雪で、シールが重い。
そのためか、思いのほかペースが上がらない。
1ヶ月のブランクも影響しているだろう。
しかし、勾配がきつくなるにつれ、ブナ林は立派になり、ツアー気分満点になる。
点在するアオモリトドマツを見つけるのも楽しい。
夏毛に変わったウサギにも何度か出会えた。
山頂直下の森林限界で昼食にする。今日は風がとても強いからだ。
標高は1,260mを示す。
ブナの根元の雪を掘り、風防を作って昼食にする。
真っ白な丸森山頂を眺めながらおにぎりとラーメンを食べる。
前回来た時は、この辺りにもツキノワグマの足跡がたくさんあった。
だから今回は熊鈴をつけている。
聞くところによると、高畑牧野は熊の放獣ポイントとなっているようだ。
昼食を済ませ、いよいよ山頂へアタックする。
相変わらず風は強い。
風を避けるなら直登だけれど、雪崩のリスクが高くなるので、傾斜のきつい直登を避けて右手から稜線に回り込む。
稜線に出ると、三角山の山頂直下に新しい雪崩跡が見られた。
さほど傾斜はきつく見えないけれどやはり油断は禁物だ。
丸森山頂は眺めが雄大で、秋田駒ケ岳から湯森山、笊森山、三角山まで一大パノラマが広がる。
尾根入口からここまで90分を要した。
山頂には壊れかけた山名板がある。
風が強いので手早くシールを外し、滑降準備を整える。
湿った新雪はスキー操作が難しかったけれど、短い距離ながら新雪のオープンバーンにシュプールを刻んだ。
昼食ポイントまで一気に滑り降りると、その先はブナ林のツリーランとなる。
栗駒山新湯コースのツリーランに雰囲気が似るが、丸森の方が傾斜がきつくテクニカルだ。
家から30分の距離にある山で、この時期にこれだけのツリーランが楽しめるのはとても贅沢な気分だ。
アクセスもそれほど悪くないので、登山口として管理棟をトイレなど再整備し、登山道もつければ通年楽しめる山になると思う。
林道に戻り、ツリーランを終える。
あとはスキーの着脱を繰り返しながら林道を辿るだけだ。
豪快に雪解け水を流す荒沢の流れは一つの見所だ。
林道の上り下りを考えると、ステップソールがこの山には適しているようだ。
やがて、林道から完全に雪が消えると、もう直ぐ牧野だ。
こうしてスキーを担いで歩いていると、シーズンも終わりに近いことを実感する。
ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)
昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。
白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)
宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
画像加工いいですね!!
ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)
私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!
白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)
産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?
ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)
徳永さん、了解しました!
ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!
徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)
前山の記事 拝見しました。
西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)
chanmikiさん
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。
日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)
白州丸さん
長いことコメントに気付かずスミマセン
東京は大変ですよね。
ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
岩手は恵まれてますよ!
chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)
初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
でも本日23日じゃないですよね?天気から。
私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)
コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡
白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)
コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。
白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)
馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。
ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)
徳永様
お久しぶりです!
コメント有難うございます!
丸森良かったですねー
雪もたっぷりで何よりでした。
そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
いつか、ウロコでご一緒したいです!
徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)
以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。
ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)
家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!
白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)
今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?
ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)
白州丸さま
宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
旧道歩きは発見があって楽しいですね!
白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)
1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。
白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)
親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。
ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)
白州丸さま
ジムニーで薪運搬!
こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)
有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)
手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)
父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!
白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)
見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!
白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)
テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね
ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)
リタイヤじっちゃん様
丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!
リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)
ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)
ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)
史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。
史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)
はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)
シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。
小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)
岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)
泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。
リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)
体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)
ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)
いやはや!
ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!
リタイヤじっちゃん (水曜日, 01 10月 2014 18:16)
久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。
ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)
ritzさん、コメント有難うございます!
阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!
ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)
はじめまして。
4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。