去年同様で4月になってから寒い日が続く。
シーズンの営業を終えた網張温泉スキー場も未だに真っ白だ。
この時期になると僕は、いつもダブルキャンバーの細板で滑りたくなる。
あえてターンしづらい板でいかに上手く滑れるか。
微妙なバランスで雪質に応じてターンのコツを探るのは、細板ならではの楽しみだと思う。
ハイスピードでのターンや、急斜面を攻めることばかりがスキーの楽しみではない。
そういうことを気づかせてくれるのが、テレマークスキーであり、細板だ。
今日はゲレンデを直登し、スキー場頂上のすぐ東隣にそびえる犬倉山(1,408m)の裏斜面、いわゆる裏犬倉を目指す。
これまでに滑ったことのないエリアだけど、いつも姥倉山から眺めては、滑りやすそうな斜面だと感じていた。
犬倉山までは登り一辺倒なので、あえてスキーシールを付けてスタートする。
実は2年前に壊れたシールを先日自分で補修したので、その耐久性をテストする狙いもある。
第1リフト脇の斜面はひどく荒れた状態で、かつ、雪が重い。
見上げるゲレンデの上部は雲に覆われて、強い風に時折小雪が混じる。
第1リフトを過ぎるとゲレンデは荒れた状態が解消され、クラストとは言わないまでも、モナカ状の重雪に変わる。
朝方、下界では雨だったので、それが一層雪を重くしているのだろう。
本来ならザラメを軽快に滑れるはずだけど、この分だと帰りは苦労しそうだ。
高度を上げるにしたがって、雲も上がっていくようで、視界は効く。
天気予報通りなら、昼ぐらいから晴れになるはずで、今日はそれを見越して家を遅く出てきた。
ゲレンデの頂上を過ぎ、犬倉山手前の鞍部からみる爆裂火口は、網張元湯から立ち昇る湯煙と犬倉山の南面の火口壁で火山の雰囲気が満点だ。
流れの早い雲が犬倉山の山頂をかすめて行く。
火口壁に発達した雪庇に近づかないよう注意しながら、頂上手前の急斜面を登る。
風当たりが強いためか、アイスバーン一歩手前の状態だ。
犬倉山山頂に到達すると、雲が晴れてきた。
ここでスキーシールを外して、姥倉山の方向に1回滑り降りるが、補修したシールも壊れることなく、この分だとまだ何回か使えそうでホッとする。
山頂から滑り降りた斜面はクラストした重雪のうえ、風で斜面に凸凹があって手強かった。
快適とは言えないが樹林帯の際まで滑りきり、そこで風を避けながらお昼にする。
西の方向に目をやれば三ツ石山も雲が晴れて望めるようになった。
昼食が済んだら、いよいよ裏犬倉ゾーンとの対面だ。
雪質は重いけど、斜度は丁度よく、滑ってはトラバース気味に登り返しを繰り返しながら、どんどん奥へと進む。
そして、そろそろ折り返しかと思ったその時、なんともおいしそうな斜面が現れた。
斜度といい、長さといい、雰囲気といい、思わず身震いするような斜面だ。
あとはこの板で上手く滑れるかどうかで、そういうのも含めて、すごく興奮する。
こういう感じは何年ぶりだろうか。
意を決して滑り出す。そして雪がそれまでの重雪と違って締まっていることに気づく。
こうなればダブルキャンバーの細板でも自在にターンができる。
そして下っていくうちに上からでは見えなかったけど、斜面が谷を南に回り込んで沢へと続いているのが見えてきた。
滑りながら頭の中で葛藤する。途中で止まるか、勿体ないのでそのまま谷を回り込んで下っていくか・・・
結論は雪質が良いのでしばらく続行することにした。こんな感じで未知の領域に滑り込んでいくのは何とも言えない快感だ。
どこまでも滑って行きたくなるけれど、次第に斜面が狭くなり、前方に鎌倉森を見上げるところまで滑り降りてやめにした。
距離にすれば大したことはないのだろうけれど、あたりを見回せば景色は新鮮だ。
姥倉山がいつもの見慣れた角度とは異なり、黒倉山へ連なる稜線に火山の様相を見せながら聳えている。
ここを折り返し地点にして網張温泉スキー場へ戻ることにする。
結構な標高差を登り返すことになるけれどステップソールは良く雪を噛み、登りも軽快だ。
犬倉分岐で更に2回ほど滑り、網張温泉スキー場の頂上から双子峠林間コース脇の樹林帯に入る。
正面に乳頭山を望みながら緩やかな斜面を進む。
この樹林帯はスキー場の営業期間中は入れないエリアで、この時期ならではのちょっと得した気分になれる。
樹林帯を抜け、兎平の上でゲレンデに合流するが、ゲレンデのコンディションは重たい腐れ雪で最悪に近い状態だった。
外足を取られないよう、スノープラウターンで何とか切り抜けるが非常に体力を消耗する。
ザラメのお気楽ターンも楽しいけれど、このように悪雪を何とかして切り抜けるのも技術力向上には重要で、満足度としてはむしろ高くなる。
だから、いつまでたっても細板革靴に飽きが来ないのかもしれない。
ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)
昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。
白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)
宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
画像加工いいですね!!
ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)
私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!
白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)
産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?
ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)
徳永さん、了解しました!
ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!
徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)
前山の記事 拝見しました。
西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)
chanmikiさん
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。
日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)
白州丸さん
長いことコメントに気付かずスミマセン
東京は大変ですよね。
ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
岩手は恵まれてますよ!
chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)
初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
でも本日23日じゃないですよね?天気から。
私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)
コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡
白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)
コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。
白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)
馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。
ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)
徳永様
お久しぶりです!
コメント有難うございます!
丸森良かったですねー
雪もたっぷりで何よりでした。
そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
いつか、ウロコでご一緒したいです!
徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)
以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。
ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)
家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!
白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)
今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?
ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)
白州丸さま
宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
旧道歩きは発見があって楽しいですね!
白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)
1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。
白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)
親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。
ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)
白州丸さま
ジムニーで薪運搬!
こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)
有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)
手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)
父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!
白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)
見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!
白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)
テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね
ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)
リタイヤじっちゃん様
丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!
リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)
ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)
ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)
史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。
史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)
はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)
シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。
小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)
岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)
泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。
リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)
体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)
ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)
いやはや!
ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!
リタイヤじっちゃん (水曜日, 01 10月 2014 18:16)
久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。
ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)
ritzさん、コメント有難うございます!
阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!
ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)
はじめまして。
4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。