奥羽山脈の和賀山塊は、派手さこそないものの秘境というにふさわしい魅力を備えた山域
その中でも西和賀町沢内に位置する高下岳(1,322m)は、最も親しみやすい山だ。
何度も登っているけれど、今回は初めてテレマークスキーで挑戦した。
強風地帯の稜線は、冬はアイスバーンに違いない。
そして春先になれば豪雪地帯の和賀山塊は雪崩の巣だ。
条件的に最も有利かつ安全にツアーできるのは4月中~下旬と見込んだ。
県道1号線から高畑登山口に至る道路は、集落を抜け、畑が終わり、舗装が切れてすぐに積雪で通行止めとなった。
ここから登山口まで2.2kmも林道を歩くことになる。
身支度を整え、さあ出発と思ったが、GPSの調子が悪いのか、衛星をキャッチしない。
高下岳に高畑ルートで登るのは初めてだし、特に積雪期の下山時に迷いやすいコースなので痛いといえば痛いが、電子機器が全てではないとあきらめ、GPSはザックにしまった。
長い林道歩きはステップソールなので苦にはならないが、誤算だったのは途中で断続的に雪が消えていたこと。
板を脱いでの歩きは、タイムロスになる。
「豪雪地帯の西和賀で、こんな山中なのに・・・」予想以上に融雪が早いことに驚いた。
駐車地点から高畑登山口まで45分を要した。
ここでシールを貼り、いよいよ登りにかかる。
しかし、その先で、またもや雪が消えた。
これは本当に大誤算だった。
板を担いで急斜面の登るのはつらい。
しかも、追い打ちをかけるように、片方のブーツのソールが剥がれるアクシデントも発生
ペースダウンに拍車がかかった。
上空の風も強くなってきた。
立て続けのトラブルと誤算に途中撤退が頭をよぎる。
が、とりあえず12時になるまで頑張ろうと気持ちを入れ替える。
登山口から標高差で200mぐらいの区間は、ほぼ“登山”を続け、その後ようやく雪山らしくなってきた。
ソールの剥がれたブーツでも、板さえ履ければ普段通りに歩ける。
傾斜も緩くなり、ペースを取り戻す。
そして、いつの間にか高下岳を間近に望む主稜線に到達した。
ここまでくれば、山頂を目指すしかない。
そうと決まれば、次は腹ごしらえだ。
眺めが良く、風当たりの弱そうな場所を見つけ昼にする。
ザックからGPSを取り出すと衛星を捉え、正常に作動していた。
標高は1,120m地点だった。
GPSの復帰は下山時に幾らか心強い。
ここから山頂まで、標高差200m
近づくにつれてモッコ岳が見えてくる。
標高1,200mの広場に出ると、目の前に高下岳が迫る。
近すぎて高度感を感じないが、「いよいよ来たな」と気分が高揚する。
南峰岳と本峰には斜面にクラックが生じている。
自分のルートはこれらクラックとは関係なく、真ん中の凸地形を直進し山頂の肩に出るので、雪崩の心配はまず無い。
高下岳の肩にでると、まずは和賀岳(1,440m)の勇姿が目を奪う。
山頂からの雪崩跡が明瞭だ。
高下岳の山頂には13時25分到達。
高畑登山口から3時間35分を要した。(昼食を含む)
山頂からは、モッコ岳、沢尻岳、根菅岳が、そして根菅岳に隠れるように、わずかながら朝日岳、大荒沢岳が望まれた。
まさに和賀山塊一望といった感じだ。
山肌にはいたるところにクラックや雪崩跡が確認できた。
特に和賀岳から根菅分岐に至る稜線の中間からの雪崩は、そのまま和賀川の源流に達する大規模なもので、標高差360mに及んでいた。
人を寄せ付けいないような奥深さ、ダイナミックな雪崩の荒々しさ。
そんな和賀山塊の魅力を存分に味わうことができた。
眺望を楽しんだら、シールを外し、滑降準備にかかる。
山頂の肩から標高1,200mの広場までは、距離は短いながらオープンバーンを気持ち良く滑る。
標高1,100mから先は、傾斜も緩くなり、広い尾根をルートを間違わないよう慎重さが求められ、滑りを楽しむ感じではなくなる。
コンパスと地形図と登りの記憶を頼りに、ルートファインディングの緊張感にしばし包まれる。
高畑登山口には15時50分に到達した。
山頂から2時間5分を要した。
この先も長い歩きがあるけれど、遭難の危険からは解放されホッとする。
帰り道、雫石は桜が満開だった。
家に帰ってすぐ風呂に入った後は、ウッドデッキに出て今日の反省会&花見をした。
今日登った標高差は917m
鳥海山(祓川コース)の1,070mには及ばないが、栗駒山の807mを上回るスケールの大きな野性的ツアーだった。
ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)
昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。
白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)
宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
画像加工いいですね!!
ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)
私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!
白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)
産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?
ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)
徳永さん、了解しました!
ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!
徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)
前山の記事 拝見しました。
西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)
chanmikiさん
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。
日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)
白州丸さん
長いことコメントに気付かずスミマセン
東京は大変ですよね。
ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
岩手は恵まれてますよ!
chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)
初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
でも本日23日じゃないですよね?天気から。
私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)
コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡
白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)
コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。
白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)
馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。
ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)
徳永様
お久しぶりです!
コメント有難うございます!
丸森良かったですねー
雪もたっぷりで何よりでした。
そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
いつか、ウロコでご一緒したいです!
徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)
以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。
ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)
家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!
白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)
今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?
ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)
白州丸さま
宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
旧道歩きは発見があって楽しいですね!
白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)
1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。
白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)
親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。
ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)
白州丸さま
ジムニーで薪運搬!
こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)
有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)
手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)
父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!
白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)
見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!
白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)
テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね
ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)
リタイヤじっちゃん様
丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!
リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)
ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)
ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)
史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。
史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)
はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)
シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。
小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)
岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)
泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。
リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)
体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)
ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)
いやはや!
ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!
リタイヤじっちゃん (水曜日, 01 10月 2014 18:16)
久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。
ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)
ritzさん、コメント有難うございます!
阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!
ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)
はじめまして。
4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。