県都盛岡と大曲を経て秋田を結ぶ都市間連絡線でありながら、非電化時代の1978(昭和53)年当時、夜行列車も特急も通らない田沢湖線にとって、急行たざわは唯一の優等列車だった。
雫石にも停車する急行たざわは、キハ58系によるたった2往復の運行だけれど、気動車の利点を活かした今では考えられないようなモンスター列車の側面を持っていた。
では、急行たざわ1号(仙台発秋田行き)に机上乗車し、モンスター列車の実態を探ってみよう。
急行たざわ1号は仙台を7時25分に発車する。仙台出発時には急行むろね1号(盛行き)と急行陸中1号(宮古行き)を併結しており、3階建ての多層建て列車ということになる。
仙台を出発した急行たざわは、塩釜を過ぎたあたりで日本三景の松島湾を右手に望み、その後はササニシキの田んぼが広がる仙台平野を北上する。
石巻線と陸羽東線の乗り換え駅である小牛田を出てまもなく、新田付近ではハクチョウ飛来地で有名な伊豆沼が車窓に迫る。夏はハスの花が見事だ。
進行方向左手に、長い裾野を引く栗駒山の姿が見えてくると一ノ関も近い。
一ノ関には8時52分に到着し、ここで盛行きの急行むろね1号を分割するのだが、この際、大船渡線の盛からやって来る普通列車を併結する。
一ノ関発は8時56分なので、複雑な分割・併結にも関わらずその間わずか4分の離れ業だ。
平泉付近では右手に北上川が、大きく蛇行しながら緩やかに流れるのが見え、「東北の大河」を実感する。
温泉で有名な花巻には9時46分に到着し、ここで宮古行き急行陸中1号を分割するのだが、ここでもそれと引換に釜石線の釜石からやって来る急行はやちね2号を併結する。
花巻発は9時54分である。
花巻を出発してまもなく、右手に見えてくる秀麗な山はハヤチネウスユキソウが有名な岩手県第2の高峰、早池峰山だ。
しばらく北上し、左手に“まんが日本昔話”に出てくるようなもっこりした山が見えるとそれが南昌山で、その背後から岩手山が現れれば盛岡は近い。
花巻から盛岡までノンストップの力走で10時20分に到着。ここからは急行たざわ単独で田沢湖線を快走する。盛岡発10時27分、編成は4両と身軽で、うち1両は指定席だ。
盛岡を出発した急行たざわ1号は、右手に日本百名山の岩手山を望みながら田沢湖線内を小岩井、雫石と停車する。
日本百名山の著者、深田久弥は、「日本の汽車の窓から仰ぐ山の姿の中で、最も見事なものの一つ」と岩手山を讃えている。
盛岡-雫石間の車窓からは、そんな岩手山の眺めを十分堪能できる。
雫石を出発した急行たざわは、まもなく脊梁の山岳区間に差し掛かる。
深い谷間を縫うような線路の眼下には美しい渓流が目を和ませてくれる。
奥羽山脈を貫く仙岩トンネルの直前で信号場があり、トンネルを出た秋田県側にも信号場がある。
次の停車駅、田沢湖は、田沢湖や秋田駒ケ岳、乳頭温泉などへの玄関口だ。
その後、列車は、みちのくの小京都 角館、羽後長野と停車する。
羽後長野では、普通列車と行き違いする。
次の停車駅は大曲で、12時1分に到着する。
ここで急行たざわの2分前の11時59分に先着していた急行千秋1号青森行きに併結される。
この急行千秋1号は、仙台を急行たざわ1号の5分後である7時30分に出発し、陸羽東線、奥羽本線経由でやってきた列車だ。
急行千秋1号は6両編成だが、うち2両は、新庄で米沢から来る急行もがみ1号羽後本荘行きから分割・併結されたものなので、実質3階建て列車に戻った格好だ。
これだけ複雑に分割併合を繰り返す列車だが、どちらかの列車のダイヤが乱れた場合はどうするのかというと、「ただひたすら待つ」のだそうだ。
大曲出発時の急行たざわは、前4両が急行たざわ、次に急行もがみから分割した2両、後ろ4両が急行千秋の10両編成だ。ちなみに急行千秋にはグリーン車が1両含まれている。
大曲の発車は12時4分。停車時間5分の間に急行たざわの併結を済ませ、秋田まではノンストップの快走だ。
四ツ小屋付近で左手に秋田運転区のヤードが見えてくれば、まもなく秋田は近い。
ヤードには特急つばさ用電車や寝台特急あけぼの用客車、ローカル用客車、気動車などがたむろしており、見ていて飽きない。
そして秋田には12時55分に到着し、急行たざわはここで切り離しされる。
青森行き急行千秋は、急行もがみから増結した2両を含め、13時4分に出発する。
昼飯の駅弁を調達するには十分な停車時間で、うなぎ弁当(700円)、牛めし弁当(500円)、とんかつ弁当(500円)、かしわ弁当(500円)から選ぶ。
秋田-青森間は35駅中14駅とこまめに停車し、16時6分終点の青森に到着。
長旅を終えた列車からは17時0分発の青函連絡船に乗り継ぎ、さらに北へと向かう旅行客の姿がある。
ウエブマスター (木曜日, 22 7月 2021 15:34)
昔の列車旅は、移動中も面白味がありました。駅にも「名所案内」の看板があり、駅名表示の下にも「●●郡●●村」とか書いてあるのが好きでした。
白州丸 (土曜日, 17 7月 2021 15:24)
宮城〜岩手〜秋田〜青森と東北縦横断の旅堪能しました。沿線の温泉に入りたい!
画像加工いいですね!!
ウエブマスター (金曜日, 16 7月 2021 23:49)
私が描いたと言いたいところですが、撮った写真を加工したんですよー
でも、文字は女流書家 泉に依頼したものです!
白州丸 (水曜日, 14 7月 2021 16:46)
産業と共に生きた雫駅の歴史が分かります。駅舎のスケッチも良いですが因みに誰のタッチ?
ウエブマスター (土曜日, 13 3月 2021 11:08)
徳永さん、了解しました!
ウエブマスターまでメールいただければ地図を返信いたします!
徳永光保 (金曜日, 12 3月 2021 07:33)
前山の記事 拝見しました。
西和賀方面にこの時期にいけるところを探していたので興味があります。だいたい見当はつくのですが
もしよろしかったらルートの地図をいただけないでしょうか。よろしくお願いします。
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:38)
chanmikiさん
いらっしゃいませ!
コメントありがとうございます。
日付は更新日でモナドノックは20日にツアーしました。
慣れていないと迷うと思うので、メールいただければ私の地図を送りますよ!
ウエブマスター (日曜日, 28 2月 2021 17:28)
白州丸さん
長いことコメントに気付かずスミマセン
東京は大変ですよね。
ワカサギを食べさせてあげれないのが残念です。
大願成就の次の回、長女と岩洞湖に行きましたが、またしても大漁でした!
岩手は恵まれてますよ!
chanmiki (火曜日, 23 2月 2021 21:07)
初めてコメントします。同じ小学校区、同じピアノ教室だったTです。
数年前からこのブログを見つけて、感動!尊敬!たくさん学ばせて頂いています。
本日23日も、「岩神山から田代牧場へ」を真似っこしようと行ったのですが、雪が少なそうで止め、区界駅2番ホームからの牧野へ行こうかとホームまで行きました。迷って結局、桐の木沢山へ行ったのですが、「モナドノック」を見てびっくり!
でも本日23日じゃないですよね?天気から。
私も単身赴任で106号を使っていたので、北上高地の、しかも地形のプロの記事、とても興味深く読んでいます。もちろん地元雫石のもです!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2021 21:04)
コロナ禍で気づく事も多く、人と接せず作業をする一次産業やステイホームで地元を考える機会も多苦なりそれが新しい日常と気づくかもしれません。地元愛と働く人に感謝¡¡
白州丸 (月曜日, 28 12月 2020 11:11)
コロナ禍で始まったこの1年、地表ををすっかり覆ってしまう新雪はしばし巷のゴタゴタも忘れさせてくれます。
白州丸 (木曜日, 10 10月 2019 16:45)
馬愛の結晶でしょうね!優しい表情が印象的です。
ウエブマスター (火曜日, 30 4月 2019 11:10)
徳永様
お久しぶりです!
コメント有難うございます!
丸森良かったですねー
雪もたっぷりで何よりでした。
そろそろクマさんがウロウロしているようです。先日大松倉で足跡を見ました。お互いに気を付けましょう!
いつか、ウロコでご一緒したいです!
徳永光保 (日曜日, 21 4月 2019 20:05)
以前 森林鉄道のツアーでお世話になりました徳永です。本日こちらで紹介されている丸森にうろこテレマークで行ってきました。雪もたっぷり残っていてブナの原生林の雰囲気もよく大変気に入りました。情報参考にさせていただきました。ありがとうございました。
ウエブマスター (日曜日, 22 4月 2018 19:07)
家の前の桜はまだですが、盛岡はすでに満開。テレマークはこれからが良い季節ですよ!
白州丸 (日曜日, 15 4月 2018 15:59)
今シーズンのテレマークもそろそろ終わり?桜も咲き始めましたあ?
ウエブマスター (土曜日, 07 5月 2016 12:18)
白州丸さま
宮古では恒例のuno大会も盛り上がりました!
旧道歩きは発見があって楽しいですね!
白州丸 (木曜日, 05 5月 2016 16:03)
1泊2日の宮古の充実した旅でしたね。女性3名を従え賑やかで大きな天候の崩れも無く良かったです。
白州丸 (日曜日, 06 3月 2016 10:50)
親子の協力、ほのぼのとして少ない成果でも美味しさがギュット詰まっている事でしょう。
ウエブマスター (日曜日, 10 1月 2016 11:41)
白州丸さま
ジムニーで薪運搬!
こういうのって、田舎暮らしならではの楽しさですね!
白州丸 (土曜日, 09 1月 2016 14:13)
有り難いプレゼント、ジムニー大活躍ですね!!
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015 17:10)
手を加えた分だけ建物は答えてくれます、又達成感は喜びになるでしょう。
白州丸 (土曜日, 26 9月 2015)
父と娘の縦走、紅葉が綺麗ですね、山ガールも頑張りましたね!!
白州丸 (土曜日, 15 8月 2015 15:52)
見事に蘇りました、15年の歴史がしみ込んだテーブル作業中はいろんな思いも浮かんだ事でしょう。我が家は削って(多分電動鉋?)もらいましたが手作業はご苦労様でした。又新しい家族の歴史(汚れ?)が刻まれる事でしょう。帰ってきた家族もさぞびっくり!!
白州丸 (火曜日, 30 6月 2015 10:19)
テーブル完成おめでとうございます。ここ迄秋田杉を利用できれば樹も喜んでいる事でしょう。無垢板は存在感ありますね!!このテーブルからどんな作品が出来るか楽しみですね
ウエブマスター (日曜日, 17 5月 2015 12:24)
リタイヤじっちゃん様
丸森制覇、おめでとうございます!私はタイミングを逃し、今年は行けず残念でしたが、動画を拝見させていただき、行った気になれました!それにしてもクマにはビックリ!!
リタイヤじっちゃん (火曜日, 12 5月 2015 09:27)
ウエブマスターの丸森ツアー(2013.5.12)でアクセスルートを知ったのは昨年の夏ごろ、それから5月の連休が待ち遠しく長いものでした。途中熊さんの歓迎を受けましたが、楽しく登ることができました。情報ありがとうございました。来冬は須賀倉を頂戴します。(山行記録YouTube”丸森”)
ウエブマスター (水曜日, 29 4月 2015 07:49)
史実探偵さま、コメント有難うございます。なるほど!奥が深そうですねー。
史実探偵:平素人 (日曜日, 26 4月 2015 00:02)
はじめまして^^、ウエブ釜石鉱山で検索訪問しました。ホームのお写真を見て、これが私の広報する、『BC.2001年に地球を半周し東北へ降臨した巨大隕石の核!』 かと思うと胸のたかまりを覚えます。よろしかったら、myブログのカテゴリー;巨大隕石(5) &, 巨大津波(4)へ、どうぞ^^!
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:24)
シロハヤブサの続編に期待・・豊かな発想に拍手を送ります。
小岩じいじ (日曜日, 05 10月 2014 14:16)
岩手の旅行記は風景写真の見事さと臨場感あふれる文章にいつも感心しています。次号を楽しみにしています。
小岩 (日曜日, 05 10月 2014 14:06)
泉ちゃん堂々の3位入賞おめでとう。又1つ話題ができましたね。来年は優勝目指して下さい。
リタイヤじっちゃん (日曜日, 05 10月 2014 10:09)
体力的に門馬コースは無理ですが、教えていただいた丸森には挑戦させて頂きます。尚、剣ヶ峰山行記録はyouTubeで公開してますがどなたとも知らず貴方の車ときのこ採りの3人には無料出演して頂いでおりますのであしからず。但し誰も見ませんが。(笑)
ウェブマスター (日曜日, 05 10月 2014 00:06)
いやはや!
ニアミスしていたわけですね、リタイヤじっちゃん様!やはり早池峰剣ヶ峰、いい山ですよねー!
今度は、門馬コースにも久々にチャレンジしたいと思っています!
リタイヤじっちゃん (水曜日, 01 10月 2014 18:16)
久しぶりに覗いて見てびっくりしました。9月15日早池峰剣ヶ峰で好青年と交差したことを覚えております。あの時の白髪親父がじっちゃんです。初めて登りましたがいい山でした。
ウェブマスター (土曜日, 07 6月 2014 22:03)
ritzさん、コメント有難うございます!
阿部館山良かったですよ!来年も絶対行きます!その時お会いするかもしれませんね!今後ともこの隠れ家的HPをよろしくお願い致します!
ritz (火曜日, 03 6月 2014 00:16)
はじめまして。
4/13阿部館山の記事拝見しました。素晴らしいところですね。
4月頭に櫃取湿原や青松葉山界隈を歩き(滑り)、斜面や森の雰囲気に感動しました。北上高地は初めて訪れましたが、また行ってみたいと思っています。
これからも岩手の山滑りの記録、楽しみにしています。